開催要領 最近の革新的教育技術の進展はめざましく、教育DXの実現はその予想された形態を変えながらも着実に進行しているといえるでしょう。国内では、初中等教育におけるGIGAスクールプロジェクト、高等教育・生涯学習ではデジタルクレデンシャルの本格的利用などですでに一定の成果があがっています。生成系AIについてはその潜在的影響力の大きさに関わらず、その全貌がまだ明らかになっておらず、現時点における最大の変動要因・不確定要因になっています。今年度は、教育DXに向けたデジタルエコシステムについて国内外の優れた実践事例について共有するとともに、相互運用性や各国でのローカライゼーションについて、その課題や解決策について議論します。国内外の第1人者からのお話を聞くほか、技術標準の導入について実践的なワークショップを予定しています。
日本1EdTech協会理事・運営委員長
山田恒夫
期間 : 2023年8月31日(木)~9月2日(土)
・2023年8月31日(木) Day 1
※当日10時40分からの会員限定セッションの動画のURL、講演資料はサイト会員(当協会の会員限定)に登録の上、ログインしてご覧ください。
・15:00(40分) LTI(再)入門 LTI国内適用検討部会
LTIの実装をこれから始める(始めたい)方向けのセッションです。学習eポータルと文部科学省CBTシステム(MEXCBT)の接続を例に、LLTI 1.3/Advantageの概要を改めて解説し、実装に役立つ開発ツール等を紹介します。
15:40(40分) OneRoster(再)入門 OneRoster国内適用検討部会
OneRosterの実装とその活用を検討されている方向けに、OneRosterの概要を改めて解説するセッションです。OneRosterによる学習eポータルと校務システムにおける名簿連携や、OneRoster CSVを用いた、学習管理システムと学習ツール間の名簿情報更新を自動化した事例をご紹介します。
16:20(30分) LTI および OneRoster によるコネクタソン報告
常盤 祐司 日本1EdTech協会 技術委員長
コネクタソンは学習デジタルエコシステムを構成するプラットフォームやツールを開発する異なるベンダーがチームを組み、それらの接続性を確認するためのイベントです。本セッションでは、1EdTech標準のOneRosterやLTIを実装したシステムを用いて実施するコネクタソンの概要および事前に実施したコネクタソンの成果を報告します。
2023年9月1日(金) Day 2
・10:35(50分) 日本1EdTech協会ビギナーズセッション
山田 恒夫 日本1EdTech協会 理事
藤原 茂雄 日本1EdTech協会 事務局長
新たに日本1EdTech協会、1EdTech Consortiumに参加された方、今後参加をご検討されている方向けのセッションです。両団体の活動の概要や、代表的な1EdTech技術標準、参加するメリットなどについてご説明します
・13:00(30分) (基調講演)Learning Technology Standards or Learning Technology Ecosystem? Yes
Rob Abel, 1EdTech Consortium Inc. CEO
1EdTech は、1990 年代以来、教育/学習テクノロジーにおける技術標準の設定に携わる多くの非常に小規模な組織の 1 つから、世界有数のオープン標準組織の 1 つに成長しました。文字通り、他の小さな規格の活動はどれも成長していません。その多くはさらに規模が縮小したり、完全に消滅したりしています。 1EdTech は現在、W3C よりも大きな規模になっています。エドテックの標準化を成功させる方法に興味がある方は、1EdTech がなぜ、どのように成長したかを理解したいと思うかもしれません。
このプレゼンテーションでは、1EdTech の最高経営責任者であるロブ・アベル博士が、成長を可能にするために 1EdTech が長年にわたって行ってきたことと、これが教育および学習におけるオープンスタンダードの成功にとってなぜそれほど重要なのかを強調しながら、1EdTech の取り組みに関する最新情報を提供します。
1EdTech has grown since the 1990’s from one of many very small organizations engaged on technical standards setting in educational/learning technology to one of the leading open standards organizations worldwide. Literally none of those other small standard’s activities have grown. Many of them have gotten even smaller or gone out of business altogether. 1EdTech is now larger than the W3C. If you’re interested in how to make standards successful in edtech, then you might also want to understand why and how 1EdTech has grown.
In this presentation the 1EdTech Chief Executive Officer, Dr. Rob Abel will provide an update on the work of 1EdTech with an emphasis on what 1EdTech has done over the years to enable growth and why this is so important to success of open standards in education and learning.
・13:30(30分) ラウンドテーブル:国際展開と国際技術標準
例年高評価を得ている「リーダーストーク」の発展版です。会員各社で展開されている、あるいは、展開を予定されている国際関係のトピックスをご紹介いただくとともに、1EdTech Consortium CEO Rob Abelから、欧米での活用についてコメントをいただく予定です。
大久保 昇 株式会社内田洋行 代表取締役社長
岸田 徹 株式会社ネットラーニングホールディングス 代表取締役取締役会議長
吉田 自由児 株式会社デジタル・ナレッジ 代表取締役COO
川原 洋 株式会社サイバー大学 代表取締役(サイバー大学 学長)
Larry Nelson Microsoft Corporation Asia Regional Business Leader, Education
Rob Abel 1EdTech Consortium Inc. CEO
モデレータ: 山田 恒夫 放送大学 教授
・14:10(50分) (招待講演)Sakai: Twenty Years of Innovation
Charles Severance, Sakai PMC Chair
モデレータ: 梶田 将司 京都大学 教授
ミシガン大学、インディアナ大学、スタンフォード大学、MIT により2004年から開始され、まもなく20周年を迎えるオープンソース LMS である Sakai の開発を当初から牽引するとともに 1EdTech LTI の父とも言われるミシガン大学の Chuck Severance 教授に、Sakai Project から見た LMS と LTI についてお話し頂きます。
・15:00(30分) (特別講演)人的資本経営を実現するオープンバッジ
岸田 徹 一般財団法人オープンバッジ・ネットワーク 理事長
政府の新しい資本主義実現会議が、5月16日に発表した「三位一体の労働市場改革の指針(案)」に1EdTech技術標準の1つであるオープンバッジの推奨が記載され、 その後「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2023」として正式に閣議決定されました。
本プログラムでは、オープンバッジに関する政府や省庁、大学、企業における取り組み利用状況や、 Caliperなどの1EdTech技術標準の大学などでの活用状況についてお伝えします。
・15:40(50分) (招待講演)マイクロクレデンシャルとデジタルエコシステム
パネリスト:
池田 佳子 関西大学教授
井上 雅裕 慶應義塾大学特任教授・芝浦工業大学名誉教授
深澤 良彰 早稲田大学教授
ディスカッサント:
吉田 俊明 一般財団法人オープンバッジ・ネットワーク 常務理事
モデレータ:
山田 恒夫 放送大学教授/日本1EdTech協会 理事
Japan Virtual Campus マイクロクレデンシャル・バッジ専門部会、一般社団法人日本オープンオンライン教育推進協議会(JMOOC)マイクロクレデンシャルWG、一般財団法人オープンバッジ・ネットワーク、公益社団法人日本工学教育協会(JSEE)、NPO法人 実務能力認定機構(ACPA)、一般社団法人PMI日本支部など、複数のお立場で、国内外におけるマイクロクレデンシャルを推進されるリーダからそのビジョンやロードマップをうかがい、1EdTech技術標準(Open Badge、Comprehensive Learner Record、Competencies and Academic Standards Exchange)のユースケースや、日本1EdTech協会に対する協力連携の期待、日本におけるマイクロクレデンシャルの今後の展望、グローバルなムーブメントにおいて我が国の果たす役割について議論します。
※関西大学の池田教授の講演資料は、トップメニューの「ドキュメント」をクリックし、「ファイル・フォルダ」の「会員限定」あるいは「一般公開」の「Digital Badge」フォルダにある「JVCとマイクロクレデンシャル(IKEDA)2023.09.01PPT.pdf」です。
16:30 (30分) 1EdTech技術標準の認定で拡張するLMSのこれから
元林 克樹 キヤノンITソリューションズ株式会社 文教ソリューション開発本部
LTI1.3によって弊社LMSと他社ツール(Teams, Turnitin)を連携させた事例の紹介と、今後連携が予想されるシステムや、その効果について説明します。
17:00 (50分) (招待講演)1EdTech 標準を実装するビジネスケース(同時通訳)
The Business Case For Implementing 1EdTech Standards
マーク・オズワルド、オープン・アセスメント・テクノロジー社(内田洋行グループ) 共同創設者兼 CEO
パトリック・プリシャード、オープン・アセスメント・テクノロジー社(内田洋行グループ) 共同創設者兼製品戦略ディレクター
Marc Oswald, Co-Founder & CEO
Patrick Plichart, Co-Founder & Director Product Strategy
Open Assessment Technologies S.A., a Uchida-Yoko Company
このプレゼンテーションでは、評価業界におけるテクノロジー標準の実装によって得られる戦略的活用を強調します。 1EdTech 標準を採用することで、顧客とベンダーは重要な利点を得ることができます。つまり、顧客がコンピュータ ベースの評価ソリューションを採用しやすくなり、技術革新が促進されるため、ベンダーは急速に成長する市場から恩恵を受けることができます。顧客は製品の選択肢が広がること、さらに重要なことに、多様なプラットフォームやツール間でのシームレスな統合とデータ互換性のおかげで導入コストや移行コストが削減されるというメリットを享受できます。
これらの点を説明するために、発表者はヨーロッパ、日本、米国の使用例を取り上げます。
This presentation highlights the strategic leverage obtained by implementing technology standards in the assessment industry. By embracing 1EdTech standards, customers and vendors gain important advantages: vendors benefit from a rapidly growing market as customers find it easier to adopt computer based assessment solutions, which in turn drives technological innovation. Customers benefit from a broader choice of products, and more importantly from lower implementation and migration cost thanks to the seamless integration and data compatibility across diverse platforms and tools.
To illustrate these points, the presenters will highlight use cases from Europe, Japan and the United States.
2023年9月2日(土) Day 3
10:05 (30分) デジタルエコシステムにおけるCASEの役割と日本における活用の可能性
・ CASE(Competency and Academic Standards Exchange)のユースケース 山田 恒夫 放送大学教授/日本1EdTech協会 理事
・ 初等中等教育分野におけるCASE活用 森下 誠太 株式会社内田洋行
・ 高等教育分野におけるCASE活用 宮崎 誠 帝京大学
10:35 (45分) QTIの我が国における展開
Deployment of QTI 2.2/3.0 in Japan
・ QTI概説 永井 正一 株式会社インフォザイン
QTIの歴史的な背景の説明と、基本的な構成・構造を説明します。
・ Portable Custom Interactionを用いた出題形式の拡張 宮澤 芳光 独立行政法人大学入試センター
QTIでは、いくつかの出題形式が定義されています。これらの出題形式以外の試験問題を作成するには、Portable Custom Interaction (PCI) を用いる必要があります。PCIは、標準の出題形式を拡張してTechnology-enhancedな試験問題を導入することができます。ここでは、PCIの概要を説明し、PCIを用いた出題形式の例を紹介します。
11:30 (50分) 「VC/Open Badges3.0/CLR2.0」の創め方
デジタルバッジの概念と活用方法を紹介します。オープンバッジは、学習者のスキルや成果をデジタル形式で認証・発行するシステムで、近年教育界での注目度が高まっています。このセミナーでは、オープンバッジの基本的な概念から、VC/Open Badges3.0/CLR2.0の特徴、そしてK-12教育での活用方法までを網羅的に解説します。さらに、新しいVC: Verifiable Credentials/OB3.0の勉強会の予定などについてご説明します。学習者のモチベーション向上やスキルの可視化の重要性の理解を目的として、更に、教育関係者がデジタルバッジを効果的に活用するための知識とノウハウを習得することができます。
・ Open Badges3.0/CLR2.0: 1EdTech最新情報
秦 隆博 株式会社デジタル・ナレッジ
デジタルバッジの概念と活用方法を紹介します。オープンバッジは、学習者のスキルや成果をデジタル形式で認証・発行するシステムで、近年教育界での注目度が高まっています。このセミナーでは、オープンバッジの基本的な概念から、VC/Open Badges3.0/CLR2.0の特徴、そしてK-12教育での活用方法までを網羅的に解説します。さらに、新しいVC: Verifiable Credentials/OB3.0の勉強会の予定などについてご説明します。学習者のモチベーション向上やスキルの可視化の重要性の理解を目的として、更に、教育関係者がデジタルバッジを効果的に活用するための知識とノウハウを習得することができます。
・ Verifiable Credentials 公認トレーニング紹介: Indicio Academy
Kent Iverson Vice President of Solutions at Indicio.tech
岡本 凜太郎 大日本印刷株式会社ABセンター事業開発ユニット事業開発部
セッションでは、VCの研修コースについて、Hyperledger FoundationにおいてVCの普及に努めておられるIndicio社(Public Benefit Company)が準備を進めておられる日本語によるVCトレーニングコースをご紹介いたします。1EdTechと同様に公共利益を重視し、社会貢献を目的に置いた法人格のIndicioが提供する、グローバルでは実績の高いVC全般のコースが、日本語で提供されるという事ですので、皆さんと共にVCを勉強するための一つの有効なツールになるのではないかと考えています。Hyperledger Foundationは、Linux Foundationがホストする、業界横断的なブロックチェーン技術を推進するために作成されたグローバルなクロスインダストリーのオープンソース共同組織です。このHyperledger FoundationにおいてVCの普及に努めておられるIndicio社は、パブリック・ベネフィット・コーポレーション(Public Benefit Corporation: PBC)として、公共利益を重視し、社会貢献を目的に置いた法人格を持つ組織として、Verifiable Credentialsの全般をカバーする認定トレーニングコース「Indicio Academy」として提供しています。今回、このIndicio Academyを大日本印刷株式会社の支援の下に日本語化して提供されることになりました。今後、Open Badges 3.0/CLR2.0などVerifiable Credentialsを活用しようと考えている多くの組織にとって役立つものになると確信しています。
13:00 (50分) (招待講演)教育DXと教育データ利活用の現状と今後
藤原 志保 文部科学省 総合教育政策局 主任教育企画調整官・教育DX推進室長
文部科学省の推進する教育DXで目指す学びの姿や教育データ利活用について、概要や今後の展望等を紹介します。
※この講演の動画・講演資料は、「参加者のみの限定公開」になっています。
限定公開までしばらくお待ちください。
13:50 (50分) (招待講演)一人ひとりの多様な幸せを実現するデジタル社会を目指した教育DX
久芳 全晴 デジタル庁 国民向けサービスグループ企画官(教育班リーダー)
デジタル庁では、関係省庁と連携し、教育DXを推進しています。官民が協働して支える準公共分野のデジタル化という観点から、教育DXの今後の取組や民間企業への期待等をお話しします。
※この講演の動画・講演資料は、「参加者のみの限定公開」になっています。
限定公開までしばらくお待ちください。
14:50 (50分) (特別講演)教育データ利活用の先進事例と今後の展望
藤村 裕一 鳴門教育大学大学院 教授
OneRosterなど国際標準仕様に基づく学習eポータルと各種校務系・学習系システムから得られた教育データを活用した渋谷区・大阪市・箕面市・秋田県等の国内の先進事例と、海外の先進事例を紹介し、今後の展望と課題について解説します。
15:40 (50分) (招待講演)ラーニングアナリティクスの研究・実践と国際技術標準
緒方 広明 京都大学学術情報メディアセンター 教授
情報端末を用いて教育・学習活動を行うことで、データが自然に蓄積されます。この教育データを科学的に分析して学生一人一人に適した教育・学習の支援を行うために、ラーニングアナリティクスは重要な技術です。本講演では、ラーニングアナリティクスの研究と実践を行う上で、なぜ国際技術標準の活用が重要か、について述べ、その例としてLEAF/BookRollシステムについて紹介します。
16:40 (50分) 日本1EdTech協会 ライトニングトーク
School Data Sync(SDS)で実現する Microsoft 365 Education のユーザー管理(15分)
水野 正幸 日本マイクロソフト株式会社 パートナー テクノロジー ストラテジスト
School Data Sync(SDS、学校データ同期)は、Microsoft 365 Education に含まれる、児童生徒の名簿情報を用いて、 Office 365 アカウントおよび Teams のチームの運用管理をより簡便にする教育機関限定の無償ツールです。SDS で実現できることを、分かりやすくご説明いたします。
国内における xAPI / LRS 利用の現況(15分)
前田 宏 株式会社ジンジャーアップ 取締役CSO
独自開発したLRS(ADL認証済)を活用した各種xAPIサービスを展開しております。国内における利用拡大に伴い,昨今,課題となっている事項,および,今後の見込み等についてご説明いたします。
放送大学 大学院科目「教育情報システム設計」の内容と受講状況
OUJ Graduate Course “ Educational Information System Design”: The first semester’s performance
山田 恒夫 放送大学
1edTech Consortiumおよび日本1EdTech協会関係者の多大なご協力をいただいて、2023年度第1学期より開講した「教育情報システム設計」(大学院・オンライン科目)の内容と初期のパフォーマンスについて報告します。
以上
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